JASME62 全国数学教育学会@広島 Day2
- m-gomi
- 7月2日
- 読了時間: 4分
2日目の朝は東広島から西条までバスが運行していて、スムーズに移動できました。また、朝から新幹線移動かと思っていたのですごくうれしかったです。良かった良かった。(笑)
宿泊したホテルの朝食がとても美味しく、個人的には「ヘソ丼」というご当地料理に感動
しました。ボリュームもあり、男性で嫌いな人はいないでしょっていう感じでした。

Day2は、6件の研究発表とシンポジウムを拝聴しました。
まず、研究発表についてですが、6件のうち特に印象に残った3件をご紹介します。
1件目は、動的幾何学習場に関する研究でした。『数学教育論文誌』に掲載された過去の論文も丁寧に引用されており、先行研究をしっかりと踏まえた理論的な実践分析がなされていて、大変勉強になりました。今回は「ドラッグ」と「メジャー」の機能に着目し、それぞれを認識論的/認知論的な2軸で捉えるという視点が示されており、とても興味深く感じました。研究の進め方や分析の切り口としても大いに参考になり、今後の自分の研究に活かしたいと思える発表でした。
2件目は、数学化過程における human agency に関する発表です。
発表された先生は、私が日頃から多くのご指導をいただいている方で、附属高校で実施している授業研究会もご一緒に運営してくださっている先生です。その先生が主に取り組んでおられる言語研究に関する発表を拝聴し、あらためて「これぞ研究」と感じました。理論の深さ、考察の的確さ、そして着眼点の新しさに感心するばかりでした。
3件目は、replication study(再現研究)に関する発表でした。後述するシンポジウムのテーマの一つにもなっていましたが、私自身も以前から関心を持っていたにもかかわらず、実際にどのように研究を進めていくのかの具体的なイメージを持てていませんでした。そのため、今回の発表は非常に参考になりました。そして何より、扱われた題材がとても面白く、「これはぜひ、自分でも再現研究をしてみたい」と素直に思いました(勝手ながら…)。
時系列としては前後しますが、シンポジウムも、毎回のことながら大変刺激的で、かつ非常に興味深い内容でした。今回のテーマは「背景的なテーマを前景化する」で、4名の登壇者によって、以下の4つのテーマが語られました。
生成AIと数学教育
ICTの活用に関する論点
再現研究(replication study)
倫理的観点からの数学教育研究
特に生成AIに関するご発表は、私自身も最近後輩と話題にしていたテーマだったため、タイムリーな学びとなりました。
また、再現研究(replicational study) に関しては、過去の数学教育研究の蓄積を振り返るような内容もあり、大変面白く拝聴しました。再現研究の必要性は強く感じていますが、発表中にも言及されていたように「華がない」といった印象が先行してしまい、注目されにくい現状も理解できました。そのような点も含め、非常に奥深く考えさせられるテーマでした。
倫理的観点からのご発表は、発表者の先生ご自身が冒頭で注意を促されていた通り、とても刺激的で、心に強く残る内容でした。近年、海外(たとえば Ernest など)でも指摘されているように、数学教育における倫理的視点の重要性は高まっており、研究全体のパラダイムシフトを促す可能性さえあると感じました。「数学におけるダークサイド」や、「スローバイオレンス(緩慢な暴力)」という言葉も登場し、現場教員として日々の授業に向き合う私にとっても、他人事ではないという意識を強く持ちました。理論的にも分かりやすく説明されており、大変有意義な時間でした。
今回の学会は、これまで参加してきた中でも特に充実した2日間だったと感じています。そして何より、「自分ももっと頑張らなければ」という思いを新たにしました(n回目ですが…)。
ここからは少し個人的なお話になりますが、今年度は多くの研究発表の機会をいただいております。8月には日本数学教育学会全国大会での発表、9月には大学での講演会、11月には勤務校でのシンポジウム、さらには愛知県数学教育研究会、12月には全国数学教育学会…と続きます。加えて、いくつかの教育系雑誌への執筆も予定しており、かなりハードなスケジュールではありますが、踏ん張りどころだと思って前向きに取り組んでいきたいと思っております。
もしこの記事を読んでくださっている方で、ご助言いただけることがありましたら、ぜひよろしくお願いいたします。



コメント